こんにちは。ドッグスクールKANEKOです。
愛犬を迎えると「お散歩デビュー」が待ち遠しい方は多いかもしれません。
愛犬とのお散歩デビューを万全に迎えられるように、しつけの面で「デビュー前に必要な準備」について書いていこうと思います。
はじめに
愛犬に必要な「ワクチン接種」がひと段落すると、「そろそろお散歩デビューしていいですよ」と病院で言われる事があると思います。
意外かもしれませんが、それは「病気の予防が万全にできました」という「愛犬の免疫について」の獣医さん視点でのお話です。
「必要なしつけ」ができていないままの「お散歩デビュー」は、愛犬にとっても、ご家族にとっても「よくない経験」になる可能性があるため、事前に必要な準備をお願いします。
備えあれば憂いなし
愛犬のお散歩デビューにも「事前準備」が必要です。
病気の予防の面では、必要なワクチン接種をして「準備万端」な方が多いと思います。
しつけの面では、「事前準備をする必要がない」「準備する事を知らない」という方もいて、「準備不足」の方が多い気がします。
お散歩中のお困り事は「お散歩デビュー前」に「準備」ができていたら防げる事がたくさんあります。
愛犬も「1度覚えた事」はリセットできないため、デビュー前に「お散歩のルール」を教えてあげるのが、愛犬にとってもご家族にとっても負担なくシンプルに「教える事」に集中できると思います。
お散歩のルール
具体的にどんな事を決めていけばいいのかわからない方もいると思うので、スクールでヒアリングしている内容の一例を書いてみます。
目的
なんのためにお散歩に行きますか?
愛犬とどんなお散歩がしたいですか?
目的がなく「なんとなく」お散歩に行ったり、「みんなしてるから」と主体性がないと、愛犬も「なんとなく」お散歩をして「いつの間にか」お困りの行動が強くなる可能性があります。
お散歩デビューの前に「どんなお散歩がしたいのか」をよく考えてみて下さい。
頻度・時間
1日何回・1回どのくらいの時間行きますか?
目的にもよりますが、「○分以上散歩しなければダメ!」という明確な規定はありません。
例えば1時間のお散歩でも、ずっと歩き続けているのか、大半をクン活しているのかによって運動量に差があると思います。
(クン活について) クン活ってなに?愛犬に必要なことなの?
トイレ
お散歩中のトイレはどうしていますか?
基本的にお散歩中の排泄はマナー違反です。
「敷地内の指定のトイレで排泄してからお散歩に行く」事を習慣にして下さい。
特に和犬は外での排泄を覚えると「外でしか排泄しない」ようになる事が多いように思います。
雨の日も風の日も台風の日もわざわざ排泄のため外へ出かけなければいけない可能性もあります。
はじめはただの排泄だった行動が「マーキング」へ発展する可能性もあるので、ご家族の敷地内や指定の場所で排泄できるように「トイレのしつけ」はしっかりした方がいいと思います。
天気
悪天候や暑い(寒い)日はどうしていますか?
お散歩は「どんな時でも絶対に行かなきゃいけない」ものではありません。
愛犬の体調面もですが、天気によって「行く行かない」は判断してもいいと思います。
もちろん、梅雨の時期や夏季などお散歩に行けない天候が続く場合は、運動不足にならないように涼しい室内などでできる運動をしてあげるといいと思います。
話は少し逸れますが、ご家族が体調不良の場合も「今日は行かない日」でいいと思います。
お散歩から帰った後の流れ
お散歩から帰って来たら、必ずする事はありますか?
帰宅後は足を拭く又は足を洗う、すぐにごはんをあげるなどある程度の流れがあると思います。
お忙しい方が多いので、ある程度の流れはあっていいのですが、特に気をつけていただきたいのが「帰ってすぐごはん」です。
「帰ったらごはんがある!」と帰り道を暴走するようになったり、息が整う前にごはんをあげると場合によっては消化不良や捻転を起こしてしまったりする可能性もあるからです。
早く「ごはんを食べる場所」へ行きたいため「足を拭く事」が煩わしくなり、唸ったり噛んだりする可能性もあるため、ご家族との関係性にもよりますが、ごはんの誘惑に弱い愛犬には特に注意が必要です。
愛犬の歩く位置
お散歩中の愛犬はどこを歩いていますか?
人のどの辺を歩いているのが理想ですか?
よく目にするのは、リードを張った状態で犬が人の前を歩いている「お散歩」です。
人の腕は伸びた状態で前方に向いている方が多いように思います。
お散歩の目的にもよるので、お散歩が「愛犬の自由な時間」ならそれでいいかもしれません。
ただ、人の腕が伸びていたり、愛犬との距離が離れていると臨機応変に対応しにくいです。
愛犬が急に何かに反応して暴走したり、飛びかかったり、すぐ側を自転車が通ったりする可能性を考えると、人の腕もリラックスした状態を保ち「万が一」に備えられるような距離で歩けると安心かと思います。
使用する犬具
体格や体重に合ったものを使用し、成長に合わせてその都度適したサイズに変えて下さい。
特に大型犬はパピー期と成犬ではサイズが大きく異なる事が多いため、定期的にチェックをお願いします。
首輪(ワンタッチ式 / ベルト式)
ワンタッチ式の首輪はワンタッチ部分が弱く、破損したり外れる可能性があるため、首輪を慣らすパピー期などに室内限定で使用された方が安心です。
お散歩で使用する際はベルト式をおすすめしていますが、首輪は緩めに着用される方が多いので、首輪抜けをしないようにお散歩前にチェックをお願いします。
また、装飾品があるとリードと絡まったり、強度が弱かったり、装飾品が外れて誤飲や怪我をしたりする可能性があるので、シンプルなものをおすすめします。
チョークチェーン
スクールで使用する事が多いため、金属アレルギーの有無は特に確認させていただいています。
チェーンを首輪のように固定しているため、首輪抜けや破損防止になります。
見た目を気にされる方もいますが、安全面を考慮して使用している旨を説明しています。
スリップリード(首輪とリード一体型)
最近目にする機会が増えてきました。
リードが切れてしまうと首輪や胴輪のない状態になってしまうため、お散歩前に劣化状態の確認をおすすめします。
リード
伸びるリード(伸縮するリード)はおすすめしません。
広いスペースで遊ぶ際はロングリード(長いリード)、お散歩の時は適度な長さのリードなど、状況に合わせて使い分けて下さい。
デビューに必要なしつけとは?
お散歩のルールを決めたら、次は「ルール通り」にお散歩に行けるように「しつけ」や「練習」をします。
スクールで練習する初期段階の一例です。
トイレの練習
敷地外や指定の場所以外での排泄はマナー違反のため、お散歩中に排泄しなくていいように、指定のトイレで人が決めた「トイレの時間」に排泄できるように練習します。
トイレは習慣性が強く出るため、「いつの間にかお散歩中にしか排泄しなくなった」という方が少なくないです。
1度ついた習慣を変えるのは時間も根気も必要になるため、初期段階のうちに敷地内で排泄をする事を教えてあげて下さい。
(トイレトレーニングについて) 愛犬のトイレトレーニングはなにに気をつけて教えればいいの?
人を意識する練習
人を意識すると、自然と人の顔を見たり、歩調を合わせる事ができやすくなります。
前を向いたままや下のニオイを嗅ぐ事が減るため、お困りの行動(引っ張る、拾い食い、草むらへ入る、マーキングなど)を防ぐ事にも繋がります。
人の側にいる練習
スクールでは、基本的に人の左側を歩くように教えます。
ご希望があれば右側で教えますが、左右どちらかを指定していただき統一します。
人の側にいる「メリット」や「安心感」があると色んな場面に備えていいと思います。
人の側にいる必要はあるの?
お散歩というと「愛犬が自由に歩く」事を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、リードが張らない距離で歩くのもマナーだと思います。
愛犬の安全面はもちろんですが、全ての人が犬好きで、どんな犬に対しても許容してくれる訳ではないからです。
例えば、人の側について歩いていると、1.5人から2人分くらいの横幅(スペース)があれば十分でも、リードの長さ分人から離れて歩いていると、道幅全て(場合によっては車道まで)が必要になる事もあると思います。
特に伸びるリードの場合は、愛犬が歩道から出ているのに人が遠くにいたり、愛犬が先に角を曲がっているのに人の姿が見えなかったり、というケースもあり、とても危険だと思います。
また、車や人とのすれ違い時にも、人の側で座って待つ事ができると愛犬もご家族も周りの人も安全だと思います。
なにかあった時に愛犬を守るためにも、道を占拠したりはみ出したりしないためにも、「ついて」や「あとへ」で側にいられるといいと思います。
お散歩中にできるといい事
スクールでお散歩の練習の目標としている事の一例を書きます。
初期段階からステップアップの内容です。
トイレコントロール
お散歩中のトイレのトラブルはとても多いですが、トラブルと感じてない方がとても多いからだと思います。
排泄をするためにニオイを嗅ぐ、気になるニオイを追って引っ張る・草むらへ入る、ニオイを意識してマーキングをする、気になった物を口に入れるなど、排泄を促す「だけ」でもお困りの行動に繋がりやすいです。
数日前にスクールの敷地内や隣接する道路上でもうんちが放置されていましたが、されて嫌な事は愛犬にもさせてはダメだと思います。
「愛犬は家族」と表現される方が多いため、人の子供に例えるなら、お散歩中にその辺で「排泄しておいで」とは言いませんよね。
お散歩前にお家でトイレを済ませて、トイレをしたくなったら急いでお家に帰って自宅のトイレで排泄をさせると思います。
愛犬も同様にご家族の「敷地内」での排泄をお願いします。
人を意識する
人を意識していない愛犬は、周りに意識が向きやすいです。
周りを意識すると吠えたり、対象を追いかけたり、ニオイに夢中になったり、人を無視してやりたい放題になる可能性があります。
競技の科目のように、ずっと人の顔を見続けて歩く必要はないですが、名前を呼んだら見るとか、気になる対象(他犬・他人・車・自転車・猫・鳥など)を凝視しないように人へ意識を持たせられるといいと思います。
人の側を歩く「ついて」「あとへ」
競技のように厳密にピッタリくっつく必要はないと思いますが、歩く時の様子は愛犬とご家族との関係性をよく表していると思います。
何もしなくても人の側にいる仔もいますが、ぐいぐい引っ張ったり、あちこち好きに動き回っていたりすると、人が転んでしまったり、愛犬を踏んだり蹴ったりしてしまったりする危険性もあるため、人の側を落ち着いて歩けるように練習しています。
人が止まったら「座れ」
道路を渡る時、車や人(犬)とのすれ違い、信号待ちをする時など、静かに座り続ける事ができると愛犬もご家族も安心だと思います。
呼んだら来る「おいで」
万が一首輪や胴輪が壊れたり外れてしまったり、リードが切れてしまったりした際に、愛犬が逃げてしまわないように「日頃から」呼んだら来る練習はした方がいいと思います。
「オヤツをみせたら来る」では緊急時は効果がないため、基本的な事を教えた後は、「どんな時でも呼ばれたら来る」ように、色んな誘惑を足して練習する事をおすすめします。
さいごに
ワクチン接種は愛犬を迎える時に案内される事が多く、案内がなくても既にご存知で接種スケジュールや予約を病院に確認される方もいると思いますが、「お散歩デビューのためのしつけ」は準備不足になりやすいです。
愛犬を迎えた場所(ショップ、ブリーダーなど)、病院、ペットサロンなどで案内や提案をされる事もあるかもしれませんが、「知らなかった」という方がとても多いです。
お散歩は愛犬との生活で「欠かせない時間」になりやすい分、しつけの有無によって「楽しい時間」にも「ストレスな時間」にもなる可能性があります。
愛犬と過ごす時間は限られているため、愛犬はもちろんですが、ご家族も楽しい時間になるように、デビュー前の準備を万全にしていただく参考になればと思います。
「お困りの行動」が出てからのトレーニングはすでに起きている行動の矯正(本来して欲しい行動を教えなおす事)が必要になり、なにも教えていない状態をゼロとするなら、マイナスからのスタートになる可能性があります。
可能ならゼロの状態からスタートできると愛犬もご家族も負担が少ないため、「様子を見る」前に、「様子を見ていい状態かどうか」を含め、早めにご相談、ご連絡いただければと思います。