こんにちは。ドッグスクールKANEKOです。
愛犬と暮らしていて、トラブルになりやすいお困り事やお悩みのひとつに「吠える行動」があると思います。
吠える行動は、要求吠え、催促吠え、むだ吠えなど色々な表現をされますが、愛犬には愛犬なりに吠える理由があり、ご家族や周りの方々が「吠える行動」に対するとらえ方(受け取り方)がそれぞれ異なる事もトラブルになりやすい一因かもしれません。
はじめに
例えば、愛犬が吠えた時、番犬なら「教えてくれてありがとう」と褒められ、来客中なら「うるさい!」と嫌がられ、帰宅時なら「帰宅を喜んでくれてる」と好意的に受け入れられる場面があるかもしれません。
愛犬からすると同じ「吠える」行動ですが、状況により、ご家族や周りの方々の受け取り方に違いがあると思います。
愛犬の吠える行動に対して、褒められる時、叱られる時、許容してもらえる時の違いが明確ではないと、褒めてもらうために「とりあえず吠えよう」と勘違いをする愛犬もいると思います。
愛犬がなぜ吠えるのか?に対しても理解が必要ですが、吠えていい時とダメな時を愛犬にわかりやすく教える(伝える)事も大事だと思います。
番犬とは?
吠えている犬のご家族が「うちの仔は番犬だから」と吠える行動を肯定したり許容したりしているお話を耳にする事がありますが、番犬は本来どういう仕事をしているかご存知ですか?
実は番犬は侵入者に対して「吠えるだけ」ではありません。
教えた訳ではないですが、スクールのボルト・バジルが、自主的に代々番犬の仕事をしてくれており、来客・業者・ご近所の方々が敷地内に入って来る前やインターフォンを鳴らす前から、車の音や歩き方が家族とは違う事を察して「誰か来たよ」と吠えて知らせてくれます。
ここまでは番犬のイメージ通りだと思いますが、自分や家族が対応したり、相手と話し始めたりした瞬間に吠える行動を自主的にやめます。
「家族が相手と話をしてる( =侵入者ではない)から」番犬としての仕事は終わったと判断し、静かになります。
このように、番犬は侵入者に対して吠えて知らせてくれますが、侵入者(危害を加える相手)ではなく家族の知り合いだとわかった時点で番犬の「仕事」は終わり、吠える必要性はないです。
なので、いつまでも吠え続け、来客とまともに話ができない状態の犬は「番犬」とは言えないと思います。
なぜ吠えるの?
吠える理由としては、犬種や性質、生活環境、生活習慣、愛犬とご家族の関係性や接し方により様々ですが、一例を書いていきます。
警戒心や恐怖心
経験不足や愛犬の気質により、得体の知れない、音が大きい、不規則な動きをするもの(相手)が怖くて吠える事があります。
対象として車、自転車、小さい子供、杖をついた方などが多い気がします。
過度な興奮
例えば、家族が帰宅した時、来客時、インターフォンが鳴った時など、愛犬が興奮している時に吠える事があります。
「おかえり!!」という「愛犬の歓迎」という感覚で特に問題と感じていないご家族もいるかもしれません。
催促
犬は学習能力があるので、同じような生活を繰り返していると、その生活リズムが習慣になります。
特に、お散歩・ごはん・お出かけなど、愛犬が楽しみにしている時間の前のご家族の行動はよく観察している事が多いです。
ご家族がいつも同じ行動パターンをしていると、決まった行動をした瞬間に「お散歩!」「ごはん!」「お出かけ!」と催促のために吠える事があります。
また、同じ時間に同じ行動していると、特定の時間になると「早く!」と催促で吠える事があります。
「夕方のチャイム」がお散歩の合図などというご家庭もあるかもしれません。
要求
主にケージレス(ハウスを使用しない)生活をしていて、お留守番や寝る時など「特定の時だけ」ハウスを使用する時に「もっと遊んで!」「ハウスから出して!」と要求する事があります。
依存
室内飼育の増加や愛犬への価値観の変化により、ご家族が愛犬に依存する、愛犬がご家族に依存するケースが増えています。
お互い、もしくは愛犬が「離れられない」状態で、少しでも離れると吠えたり鳴いたりする事があります。
吠えやすいタイプ
警戒心が強い、神経質、興奮が強い仔は特に吠えやすい傾向があります。
(興奮について) 愛犬のその行動、本当に喜んでる?
犬種の特性や元々の性質として吠えやすい傾向がある場合は、「吠えないように」「吠え続けないように」練習をする必要があると思います。
もちろん上記のタイプが全て吠える訳でも、上記以外のタイプが全く吠えない訳でもなく、生活環境、生活習慣、愛犬への接し方などで行動の抑制や強化などに差が出やすいです。
吠えやすい環境
ルールのないケージレスの環境が最も吠えやすい環境だと思います。
(ハウスについて) 愛犬にハウスは可哀想?やっぱりケージレスがいいの?
ケージレスは「落ち着ける場所がない」ケースが多く、自由にどこにでも行けるため、興奮状態が継続しやすいです。
好奇心旺盛な仔は周りの動きに過敏になり、
神経質な仔は執拗に周囲をチェックしたり、
警戒心が強い仔はあらゆる物音に対して反応したり、
どういうタイプの仔でも「落ち着きがなく吠えやすい状態」に発展しやすいです。
吠えないようにするためには
しつけ全般に共通していますが、事前に・予め・予防的にする練習と、すでにしている行動を矯正する練習は内容や愛犬への負担が異なります。
「吠えないようにしたい」状態と「吠えてうるさい」状態ではすでにスタートラインが違うからです。
しつけをするなら「お困り事の改善」より、お困り事にならないように「将来に備えた」予防的なしつけができるとベストだと思います。
まだまだ「しつけは家族だけでするもの」という認識が多いですが、同じ種族の人間で自分の子供でも幼稚園・保育園、小学校、中学校と教育をしてもらい、「家族以外のプロ」の方々にお世話になる機会が多々あります。
それは「必要な事」であり、「家族だけではできない事」だからだと思います。
なので、別種族の犬の場合は、より「ご家族以外のプロ」と一緒に成長を見守る選択をしてもいいと思います。
病気や怪我は病院(獣医)、美容やお手入れはサロン(トリマー)、しつけはスクール(トレーナー)とそれぞれの分野でのプロがいるので、安心してご利用いただければと思います。
お問い合わせのタイミングとして、「困ってからのご相談」がまだ多いので、「将来困らないように」予防的にトレーニングを開始できるといいと思います。
「特に困ってない」という方でも、ご家族が気にしていないだけですでに色んな行動をしているケースも多々あります。
スクールでは、低月齢や早期トレーニングの意識を持っていただくきっかけとして一部のコースで「パピー割」を作りました。
愛犬を迎えたら、まずは病院でワクチン接種の予約や説明を受ける方が多いと思います。
そのタイミングで、しつけの相談、利用するサロンの検索などを始めるような習慣が浸透すると「日本の犬社会」に少しずついい変化が出ると思います。
吠える行動を減らすためには
まずは、生活環境や愛犬への接し方を見直しをして、愛犬がなぜ吠えるのかをよく観察してみて下さい。
スクールでは、「ハウスに慣らす事」「人に合わせた生活をする事」をまず練習していきます。
ハウスに慣れると「落ち着ける場所」ができるため、興奮状態の継続、周囲へのパトロールなどを控え、吠える状況やきっかけを減らす事ができます。
「ごはんの時間」「トイレの時間」「ハウスの時間」「お散歩の時間」「遊ぶ時間」などを「愛犬が催促・要求した時」ではなく「人が決めた時間」に人に合わせた生活ができると、イレギュラーがあった時なども吠え続ける事が減ると思います。
先ほども書きましたが、犬は学習し、習慣化する性質があります。
それを「しつけ」で活かすのか、「お困り事」の強化をしてしまうのかは、ご家族が「やるかやらないか」の部分もあると思います。
もちろん、全てをご家族で背負う必要はないので、気になる事があればまずはお気軽にトレーナー(しつけのプロ)に相談してみて下さい。
吠えた時はどうしたらいいの?
まずは「なぜ吠えているか?」「どんな時に吠えているか?」など愛犬が吠える「状況」や「条件」を整理してみて下さい。
吠える原因は愛犬や各ご家庭で様々なので、ここでは具体的な練習方法を書く事は控えます。
例えば、吠える行動の対処法の一例として、「無視をしましょう」と書かれているものをよく目にしますが、「無視をされた事」がデメリットになる仔には有効ですが、無視をされても気にしない(デメリットではない)仔には特に効果がないケースもあるからです。
「無視」は簡単な罰(叱り方)として紹介される事がありますが、前提として「無視される事がデメリットになる仔に限る」方法です。
ご家族に無視をされ、愛犬が「嫌だな」という関係性が築けている事が大前提なので、そうでないご家庭で「無視」で叱っている「つもり」になっていると、愛犬は「叱られないから吠えていい」と吠える行動を肯定されていると勘違いする可能性があります。
このように、練習方法はケースバイケースなので、色んな本やサイトや検索して情報を得る事は悪い事ではないですが、「必ずしも愛犬とご家族に有効な情報(やり方)」かどうかまではわからないと思います。
情報化社会で便利になった分、情報が溢れていて「なにが正解か」わかりにくい事もあると思います。
スクールは特に敷居の高い場所ではないため、お気軽にお問い合わせ下さい。
プロの目からみて、愛犬や各ご家庭に合わせた練習方法や生活環境などのご提案をさせていただきます。
さいごに
愛犬の吠える行動「だけ」に注目しやすいですが、愛犬の精神状態、吠えやすい生活環境、吠え続けさせてしまう関係性に対する見直しが必要なケースが多いです。
犬種や性質により、吠えやすいタイプはいますが、吠える行動の強化をしないような練習や習慣により、吠える行動の緩和ができる可能性があります。
適正な方法でないと吠える行動の強化をしてしまう可能性があるため、あえて具体的な練習方法は書いていません。
愛犬が何に対して、なぜ吠えているのか?どんな練習をすればいいか?などはケースバイケースです。
愛犬の気になる吠える行動がある場合はお気軽にお問い合わせ下さい。