愛犬にハウスは可哀想?やっぱりケージレスがいいの?

こんにちは。ドッグスクールKANEKOです。

愛犬を外で飼育する場合、鎖で繋いだり、専用の囲い(サークル、クレート)の中で飼育したりする方が多いと思います。

室内で飼育する場合、どんな飼育方法をしていますか?

ハウス(クレート、ケージ)を使わない = ケージレスについて書いていこうと思います。

今回は「ハウスについて」です。

(しつけについて) しつけをするのは可哀想?愛犬のためにできる事ってなんだろう?

(叱る事について) 愛犬を叱っちゃダメなの?叱る事は可哀想?

 

はじめに

最近は「ケージレス」のペットホテルやサロンが増えている気がします。

その背景には動物愛護法による犬の体格の規定に合ったケージサイズが必要な事や、「ハウスが可哀想」という方が増えた事が一因かなと思います。

では、愛犬にとってハウスはダメなものなのか?ケージレスがベストなのか?自分の考えを書いていこうと思います。

※ クレートやケージの事は「ハウス」、室内フリーなどハウスを使わない事は「ケージレス」と表記を統一します。

 

ケージレスとは

ハウスを使わない飼育・生活・管理方法です。

確かに「ハウスに入る」という制限がないと、愛犬は自由に動き回り、好きな時に好きな事ができるので、楽しい環境かもしれません。

また、ハウスに慣れていない、ハウス内で落ち着かず動き回る愛犬にとってはストレスなく過ごせるメリットがあるかもしれません。

ただ、人と生活する上では「全て愛犬の自由」だと不都合が発生する事があります。

 

ケージレスによるデメリット

普段ご自宅でご家族と過ごす分には、ケージレスで特に問題がない場合でも、予期せぬ「イレギュラー」があった時に、愛犬に過剰に負担がかかったり、お困りの行動のきっかけになったりする可能性があります。

また、ルールがなく「全て愛犬の自由」な環境で生活をしていると、様々な事故やトラブルを起こしたり、お困りの行動をしやすくなる可能性があります。

 

イレギュラーとは

「予期せぬ事」を意味しますが、ここでは「普段とは違う環境や状況にせざるを得ない事」と定義します。

災害

暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象を指します。

「いつ」「どこで」発生するかわからないため、ご家族も愛犬も「もしも備える」必要があります。

被害状況によっては避難所で生活したり、愛犬の安全面からケージレスが困難な状況になったりする可能性があります。

避難所は「ハウスに入れる事、静かに過ごせる事、トイレのしつけができている事」などが利用条件の場合があります。

(参照) 災害時におけるペットの救護対策ガイドライン-環境省 

 急用

お仕事での急な出張や遠方の方の不幸など「想定外」の外泊で留守にする事もあると思います。

ペットホテルなどをご利用する時に、ご家族がご希望でも愛犬の性格や性質によっては「ケージレス」でお預かりできない場合もあるようです。

来客

インターフォンや来客に対して吠える愛犬にお困りの方は少なくないです。

宅配業者の方などはもちろん、家の中まで入るご親族やご友人、業者の方などに対してずっと吠え続けたり、時には噛み付いて攻撃する犬もいます。

興奮している愛犬に対して、「その時だけ」ハウスを要求してもハウスに入らなかったり、ハウス内でも吠え続けたりする可能性が高いです。

 

イレギュラーに備えるために

「ハウスに慣らす」事が大事だと思います。

ハウスに慣れている場合、「ハウスは安心できる場所」になっている事が多いため、ハウスに入れば静かに落ち着いて過ごせるようになります。

 イレギュラーに対して一定のストレスはあっても、精神的に安心できる場所(ハウス)がある分、負担は少ないと思います。

ハウスに慣れてない・ケージレスの場合、イレギュラーに対するストレスに加え、ハウスで過ごす事を要求されるため、「行動を制限される事」へのストレスも加わり、愛犬にとっては苦痛な事ばかりで大きな負担がかかりやすいと思います。

「はじめての事」や「不慣れな事」は、誰でも身構えたり、緊張・不安・ストレスなどから体調を崩したりする事もあると思います。

イレギュラーを予め回避する事ができればベストですが、万が一に備えて愛犬との準備や練習も必要だと思います。

 

ハウスは狭くて可哀想?

ハウスに抵抗がある方は「愛犬を狭いところに閉じ込めて可哀想」と表現される事が多いです。

ハウスに慣れている愛犬と生活されている方は、「狭いと思って大きめのハウスに変えたら落ち着かなくなった」経験をされた方もいると思います。

元々狭く薄暗い穴倉を寝床にしていた習性から、大きすぎず「適度な狭さ」で「静かな場所」を好みやすいためです。

人の感覚だと「広い方がいいだろう」と愛犬用に広いスペースを用意しても、愛犬からすると「落ち着かずに休めない」事もあるため、愛犬目線で「適度な大きさ」のハウスを用意してあげて下さい。

 

結局、ケージレスはダメな事なの?

ある程度のしつけができていて、ハウスにも慣れているなら「条件付け」でケージレスはいいと思います。

ただ、なにもしつけをせずに「全て愛犬の思い通り」「やりたい放題」の状態で自由にするケージレスはおすすめできません。

お困りの行動やトラブルなどが増え、将来的に愛犬の生活範囲や行動範囲を制限せざるを得なくなる可能性があるからです。

例えば、「なんでも自由に好きにしていいよ」と無条件で自由を与えられた後に「来客時はハウスして!」「ソファには乗っちゃダメ!」「排泄はトイレで!」などとNGな事や条件を追加すると、「自由を奪われた」「行動を制限された」という思考になりやすく、「なんでダメなの?」「好きにしていいんじゃないの?」とストレスに感じたり、時には反発したりするかもしれません。

同じ事でも、はじめに「『ハウス』と言ったらハウスして、ソファには乗らないで、トイレで排泄できたら、それ以外は自由にしていいよ」とNGな事や条件(制限される事)を先に教てもらうと「NGな事を除いた範囲」で過ごす事になるので、「ハウスする事」「ソファに乗る事」「排泄をトイレでする事」に対して特にストレスに感じる事も反発する事もないと思います。

特にパピーから家族に迎え一緒に過ごす場合、小さくて可愛いので「なんでも許したくなる」かもしれませんが、それは無責任に「自分(愛犬)の好きな事しかしない」「やりたい放題する事しか知らない」「自由な環境でしか過ごせない」愛犬に育ててしまう可能性があります。

幼少期はなんでも許せていた愛犬の行動が、成長過程とともにご家族が「お困りの行動」と感じた時に「自由の制限」が必要になるため、それまで自由にしていた愛犬にとって「制限」への負担やストレスは大きくなりやすいです。

なので、「はじめに」自由の範囲を制限する事を教えてあげるのが「愛犬想い」だと思います。

お留守番時、車などの移動時、災害時などに備えて「ハウスの練習」を必ずしてあげて下さい。

避難訓練と同じで、日頃から「慣れている」事が大切です。

愛犬には災害がなにかもわからずにパニックになり、家から出て行って行方不明になってしまう可能性もあります。

安全面はもちろんですが、いざという時に愛犬のストレスを軽減してあげるためにも「ハウスの練習」はぜひして下さい。

 

さいごに

ケージレスは絶対ダメだ!という訳ではありませんが、個人的にはおすすめできない環境や状況も多いです。

ケージレスのペットホテルやサロンではプロが常在して愛犬から常に目を離さずに見守っていると思いますが、特にペットホテルでは向き不向きがあるので、ご家族が「預かって欲しい」と思っても愛犬の性格では不向きだったり、トラブルになりやすい性質や行動をしている犬はお断りされる事もあるようです。

おうちでは、ケージレスの愛犬の色んな行動が「当たり前」になってしまい、気付かないうちに誤飲誤食をしてしまったり、盗み食いが習慣になっていたり、家具が破壊されたり、吠える行動の強化や、縄張り意識からの見まわりで精神的に疲弊してしまったり、「いつの間にか」色んな事故やトラブルに発展してしまう可能性があります。

愛犬の安全面でも、精神的な安定のためにも、イレギュラーに備えるためにも、「ハウスの練習」をぜひしてみて下さい。