愛犬のビビリ、どうしたらいいの?

こんにちは。ドッグスクールKANEKOです。

「愛犬がビビリ(臆病)」はよくあるご相談やお困り事のひとつですが、ビビリな仔にはある共通点があると思います。

ご家族によって、「ビビリの緩和や克服をしたい」方もいれば、ビビリを「愛犬の個性」と受け入れて、そのまま様子を見る方もいると思います。

「ビビリ」について書いていこうと思います。

 

はじめに

「ビビリな仔」といっても、ビビリの程度や苦手な対象には個体差がかなりあると思います。

まずは愛犬は「何に対して」ビビリなのかを明確にし、愛犬のビビリについて「ご家族はどうしたいのか」などをご家庭内でよく話し合っていただくきっかけになればと思います。

 

ビビリの仔の共通点

ビビリの仔は「なんでも自分で解決しようとする頑張り屋」の仔が多い気がします。

愛犬目線で「危険なもの」「未知なもの」「嫌なもの」に対して「自分(愛犬)がどうにかしなきゃ!」と頑張り過ぎてしまい、愛犬の許容範囲を超えて(キャパオーバーになって)しまう事があります。

ビビリの対象に対する反応は、愛犬の性格(性質)やご家族との関係性により、相手(対象)を威嚇・攻撃する、パニックになる、対象から逃げるなど様々です。

スクールでもビビリな仔はよくいますが、まずは人との関係性を重視し、「愛犬ひとりで抱えず、人を頼る事」をじっくり教えていきます。

 

ビビリの対象

まずは愛犬が何に対してビビるのか、よく観察し、確認をしてみて下さい。

例えば、「他人にビビる」場合、対象が女性なのか男性なのか、大柄なのか小柄なのか、大人なのか子供なのか、走ってるのか歩いているのか、自転車に乗っているのか車椅子なのかなど、色んなパターンがあると思います。

よく様子を見ると、「大柄の男性だけ」が苦手でそれ以外は特に問題ないケースもあり、「全部がダメ」とは限らない事もあります。

※「大柄の男性が苦手」というのは一例です

ビビリの仔は「全てにビビる」と思いがちですが、愛犬の様子を見ると苦手な対象や状況がなんとなくわかると思います。

 

ビビリの緩和方法

では、具体的にどんな練習(トレーニング)をするのか?ですが、ビビリの要因や反応には個体差があるので、「絶対よくなるマニュアル」はなく、「ケースバイケース」になります。

同じ「車にビビる」ケースでも、車全てがダメなのか、大きい車だけなのか、背後から来る車だけなのか…

車に対して、パニックになるのか、向かっていくのか、逃げていくのかなど、対象や反応によって練習方法は変わるからです。

本質的には「人を頼る」事を教えていくのですが、その過程はそれぞれで異なる場合もあります。

ビビリの仔だけでなく、しつけの見直しや幼稚園の登園など「今までと違う事」をする際は、今までとの環境の変化により愛犬が一時的に体調不良(下痢や食欲不振など)になる場合があります。

それを「可哀想」と思い何もしないのか、「必要な事だから頑張ろう」とチャレンジしてみるのか、ご家族のご意向次第にはなりますが、やる!と決めたら、愛犬にある程度の変化が出るまでは継続して練習する事をおすすめします。

「途中でやめる = 愛犬が理解できていない段階で終了する」事になるため、成果が得られず、中途半端になります。

愛犬にも達成感がなく「なんのために頑張っていたのか」がわからないまま終了すると、練習(トレーニング)に費やしていた時間が、「誰にとってもメリットがない時間」になってしまう可能性があるからです。

スクールでは愛犬の様子(健康面を含む)を見ながら、無理のない範囲でトレーニングを進めます。

そのため、進みがはやい仔もいれば、ゆっくりな仔もいますが、その都度愛犬の様子をお伝えして、ご家族にご提案やご相談をしつつ、練習を重ねるようにしています。

 

人を頼るとどうなるの?

愛犬ひとりで全てを背負わなくていいため、精神的に落ち着きやすいです。

ビビリの対象を100%克服できるかはわかりませんが、人を頼る事により、パニックを軽減するなど、反応の仕方を変える事はできる場合があります。

スクールでは、まずは「人に注目する」練習をします。

ビビリの仔ほど、苦手な対象に注目し過剰に意識してしまうため、「人に注目してれば大丈夫」という練習を重ね、ビビリの対象が「気にする程ではないもの」だと印象づけていきます。

そういう練習を重ねると、例えば、車が苦手な仔の場合、車が来ると「車が来た!」と人を見るようになります。

そこで「車ではなく人に注目した事」を褒め、ビビリの対象があっても「正解の行動(人がして欲しい行動)ができた」と自信を与えていきます。

その結果、「人に任せておけばいい」「自分(愛犬)が頑張る必要はない」と理解するようになります。

※「人を頼る事」と「人に依存する事」は似て否なるものなので、誤解をしないようにお願いします

 

ビビリの強化になりうる事

「大丈夫だよ、こわくないよ」とビビリの対象に注目するように促し、愛犬に対象をより意識させる行動をしている方をよくみかけます。

例えば車にビビる仔の場合、車を見つけた段階から通過するまでずっと車に注目させる事になります。

ご家族の心理的には愛犬にビビリの対象を見せて「大丈夫」「気にしなくていいよ」と安心させたいための行動だと思いますが、愛犬目線だと「ビビリの対象」を過剰に意識し、「より苦手なもの」になる可能性があります。

上記の行動を繰り返していると「車を見つけたら即反応をする」ようになり、お散歩や車での移動なども困難になる可能性があります。

 

ビビリはそのまま様子見がいい?

経験不足からのビビリの場合、緩和や克服したいと思うなら少しずつ対象に慣らした方がいいと思います。

なにかのトラウマからビビリの場合、まずはトラウマの原因を探す事を優先します。

「ビビリ」とひと言で括って「ビビリにはこのやり方がいいです」とはお伝えできないため、ビビリの要因、対象、反応などをよく確認する必要があります。

ビビリの対象が普段の生活で避ける事ができるものなら、緩和や克服をするか、様子を見るか、避ける事を優先するか、選択肢があると思いますが、中には避けられない対象も存在します。

特に「注射」「病院」「獣医さん」にビビるというケースは命に関わる可能性があるため、少しずつ緩和や克服していけるように練習していく事をおすすめします。

 

実はビビリではないかも?

例えば、「愛犬が吠える = ビビリ」のように、お困り事の本質を「ビビリ」と決めつけている方がいます。

実際にビビリの仔もいますが、実際は逆で、相手を挑発したり威嚇していたりというケースもあります。

また、ご家族が愛犬を過剰に庇う事から「虎の威を借る狐」状態で、「ご家族がいれば無敵」だけど「ひとりになると何もできない」仔もいます。

ビビリの仔は「やられる前にやる」思考になる傾向があるため、追い詰められると相手を噛むなど威嚇行動をする事があります。

ただ、威嚇行動がビビリ由来なのか、そうでないかは見る人が見ればわかると思います。

ビビリかも?と思っても決めつけずに、まずはお気軽にプロに相談される事をおすすめします。

 

さいごに

ひと言で「ビビリ」といっても程度、要因、反応は様々です。

「うちの仔はビビリだから…」と諦める事も選択肢のひとつですが、愛犬に無理のない程度にビビリの緩和をしてみるのも選択肢のひとつだと思います。

ビビリの仔は人を頼らずに自分で全て背負い込む傾向があるため、スクールでは、まずは人との関係性の見直しや、「人を頼る」事のメリットを色んな練習を通して教えています。