こんにちは。ドッグスクールKANEKOです。
しつけやトレーニングをする際、スクールでは愛犬やご家族が「将来困らないように」をひとつの信念にしていますが、理由を説明してトレーニング方法やトレーニングの継続をご提案しても「今は困ってないから」「とりあえず今はいいかな」と断られる事が増えているように思います。
はじめに
「当たり前」と思われるかもしれませんが、愛犬は家族に迎えた月齢年齢のままではなく、成長し続けます。
そのため「1度しつけをしたから終わり」「はじめに困っていた事は解決したから終わり」ではなく、愛犬の成長に合わせたしつけやトレーニングが必要だと思います。
「今まで平気だったのに“急に”○○するようになった」というご相談がありますが、月齢や年齢による行動のものもあるからです。
愛犬は成長する
愛犬の成長は、パピー期、成長期(反抗期)、成熟期、シニア期に大きく分ける事ができると思います。
例えば、ご自身やお子さんに置き換えていただくと、幼少期は元気に楽しく過ごしていればよかったのに、学校へ通うようになると勉強をしたり(させたり)、人間関係が複雑になったり、志望する学校により学力や能力など必要なものを磨いたり(塾などに通わせたり)、就職したり、独立したり、家庭を持ったり、育児をしたり、家族を養ったり、その時々で「必要な事」や「お悩み」は異なると思います。
愛犬も同様、各成長過程により、愛犬にとって必要なしつけの内容や、ご家族のお悩み(お困り事)は異なる事が多いです。
例えば、反抗期があるのがわかっているなら、反抗期に備えた関わり方やトレーニングをして「お困りの行動」や「困る可能性がある事」を予防したり軽減したりする事ができますが、「まだパピーだから大丈夫」「“今”は困ってないから必要ない」と「その場しのぎ」を選択される方が少なくないです。
反抗期の有無や程度には個体差がありますが、スクールでは「困る可能性」があるなら、「困ってから」ではなく「困らないように」しつけやトレーニングをできると、愛犬はもちろんですが、ご家族にとってもいいと考えご提案しています。
その場しのぎのリスク
「今」はよくても、将来的に困る可能性がある事は、できれば未然に防いだり、よくない習慣や傾向は排除したりできる「先まわりのトレーニング」をスクールではおすすめしています。
例えば「今」は困っていなくても、成長過程や特性(犬種、性別含む)により「困るかもしれない」予兆があれば予防を兼ねてトレーニングをした方がいいと個人的には思っています。
「困ってから」では、トレーニングの内容や練習方法が後手後手になり、愛犬とご家族との関係性によっては改善(緩和)するのにとても大変なケースもあり得るからです。
なにが「その場しのぎのリスク」になり得るのか、具体的な例をあげてみようと思います。
トイレ
ある一定の月齢を迎えると「外でしかトイレをしない」「マーキングをする」お悩みが多くなる傾向があります。
特にルールがない生活をしていると、「いつの間にか」お散歩中の排泄を覚え、室内で排泄しにくくなる仔がいるため、トイレをいつ、どこでして欲しいのか?して欲しくない場所や状況はあるのか?など、「愛犬のトイレ」について予めご家庭内でルールを決めてください。
スクールでは「指定のトイレ」で人が決めた「トイレの時間」で排泄する事を教えています。
(トイレについて) 愛犬のトイレトレーニングはなにに気をつけて教えればいいの?
生活環境
「今」は大丈夫でも、生活環境によって落ち着きがなくなったり、吠えたり、誤飲をしたりする可能性があります。
愛犬が「落ち着く」「安心できる」ように環境を整えてあげる事が必要です。
(愛犬のなぜ?) 愛犬に落ち着きがないのはなぜ?
(愛犬のなぜ?) 愛犬が吠えるのはなぜ?
(誤飲について) 愛犬は大丈夫?おうちで危険なものってなに?
お散歩
お散歩のトラブルやお悩みはとても多いですが、「事前準備」をせず「なにをしたらいいか」を教えられていない愛犬が多く、ご家族もお散歩に準備が必要だとご存知ない方がとても多い印象です。
(お散歩について) 愛犬のお散歩デビュー、準備はできてる?
事前準備や「まだパピーだからいいか」と「お散歩のルール」を教えないと愛犬は自分の好きな事だけをするようになり、「いつの間にか」お困りの行動へと発展しているケースが多いと思います。
事前準備をする事によってお散歩でのトラブルやお困り事は防ぎやすいです。
愛犬との関係性
特に「困っている」とご家族が感じていないケースも多いです。
可愛い愛犬の要望は何でもきいてあげたくなるかもしれませんが、自己中心的なわがまま仔に育ててしまうと、成長したり「お困り事」に発展したりしてから「見なおす」のは愛犬にとって酷な場合が多いです。
散々愛犬が自由な生活をして、愛犬が望む事をしてあげていた場合、ご家族は「愛犬の思い通りに動く人」になっているケースがあり、いざしつけを始めようとしても愛犬の反発が強く上手くいかないケースも多々あります。
また愛犬を構い過ぎたり、愛犬とご家族が依存し合って「分離不安」になってしまうと精神的に不安定になり、トレーニングをするのも大変なケースがあります。
(分離不安について) 愛犬は大丈夫?分離不安ってなに?
「今」は困っていなくても、後々困りそうな関係性が構築されている場合は可能性のお話をして、愛犬への接し方や愛犬との関係性の見直しをご提案する事があります。
介護
今は若い愛犬も必ず歳をとり、場合によっては介護が必要になったり、事故や病気により若くても介護(介助)が必要な愛犬もいたりします。
その際に「誰がどこを触っても平気」なように日頃から色んな場所を触っても嫌がらないようにしてあげてください。
(しつけについて) 愛犬をしつけのしやすい仔に育てるコツは?
また、特に大型犬は肥満に注意です。
介助する時、力が入っていない愛犬は体重計の数字よりも重く感じる事が多いです。
日頃から体型維持にも気をつけてください。
災害時
万が一に備えて「ハウスに慣れる」練習をお願いします。
(ハウスについて) 愛犬はなんのためにハウスするの?
ご自宅ではフリーで難なく過ごせていても、災害時は避難所でもフリーで過ごせるとは限りません。
ただでさえストレスがかかりやすい環境で、愛犬に余計なストレスを与えないように「落ち着ける場所」を作ってあげてください。
脱走
お散歩中、車からの乗り降り、玄関の開けっぱなしなどで、愛犬が脱走する事があります。
脱走した仔はそのまま行方不明になったり、事故に遭ったり、愛犬は無事でも事故を誘発したりする可能性があります。
「おいで」で「どんな時でも必ず戻る=呼び戻し」ができると愛犬の命を守りやすくなります。
どんなに気をつけていてもハプニングやヒューマンエラーは起こり得ます。
万が一のトラブル時でも慌てずに「おいで」で愛犬を呼び戻せるように日頃から備えが必要です。
一緒に生活するご家族の変化
愛犬は生活環境により、良くも悪くも変化しますが、意外と盲点になりやすいのが、愛犬と一緒に生活する「ご家族の変化」です。
特に大きな病気などなければ、小型犬なら20年、大型犬でも10年前後生きられる仔がいます。
愛犬をパピーで迎えた場合、迎えた年齢+10〜20年を想像してみると、小さかったお子さんが成人していたり、新しい家庭を持ったり、お子さんの進学独立や結婚出産などで愛犬と一緒に生活するご家族が増えたり減ったりするケースがとても多いです。
10〜20年間ご家族構成が同じだとしてもお互いに年齢は重ねていくため、お散歩の時間が増減したり、お仕事の兼ね合いでご自宅にいる時間が増減したり「ずっと同じ」は現実的に難しいです。
なので、愛犬やご家族の年齢や状況に応じて「ベスト」な状態をキープできるように、変化に順応できるように「継続的なしつけ」や「将来に備えたしつけ」が大事だと思い、「必要ではない」と言われるかもしれませんが、スクールではご提案し続けています。
さいごに
愛犬の「今」の事でいっぱいいっぱいの方も多いかもしれませんが、愛犬も成長し続けるため、各月齢や年齢でお困りの行動は異なるケースも多いです。
愛犬の「嫌だ」という反応の仕方もパピーなら可愛い範疇ですが、年齢を重ねると激しく抵抗したり咬んだり暴れたりする事があり、愛犬もご家族も怪我をするリスクがあります。
気になる事があれば「とりあえず様子を見る」のではなく、お気軽にお問い合わせください。