こんにちは。ドッグスクールKANEKOです。
愛犬を迎えると愛犬に「しつけ」をする方が多いと思います。
しつけの方法や目標は各ご家庭により色々あると思いますが、愛犬にしつけをする上で「ご家族」が気をつけたり意識したりして欲しい事について書いてみようと思います。
はじめに
なぜしつけをするの?
「犬を飼う=しつけをする」という認識の方は多いですが、なぜ?なんのために?しつけをするのか、どんなしつけをどこまですればいいのかわからない方や曖昧な方も多いように思います。
しつけは本来「ルールを教える事」なので、愛犬に人と生活する上で必要な事や、ご家族との生活で「して欲しい事」「して欲しくない事」などを教えていくイメージです。
しつけをすれば「なにをすればいいのか」を愛犬が理解し、お互いに充実した生活を送る事がしやすいですが、しつけをせずに「なにをすればいいのか」が曖昧だったり教えていなかったりすると、愛犬はもちろん、ご家族や周りの方々もストレスを抱えた生活をする可能性があります。
「なぜしつけをするのか?」は愛犬を迎える前にご家族でよく話し合い、愛犬に必要なしつけをしてあげていただければと思います。
(愛犬を迎える前に) 愛犬のしつけってなんだろう?いつからどんな事をすればいいの?
愛犬に「教える」ためには
例えば、ワクチン接種が終わって“ご家族が”「お散歩したいから」と愛犬にルールを教えないままお散歩に行き、引っ張る、拾い食い、吠える、マーキングなどの「お困りの行動」に発展させてしまう方がとても多いです。
ご家族が「愛犬とお散歩に行きたい」気持ちはわかりますが、まずはお散歩のルール、人との関わり方、外での過ごし方などを愛犬にしっかり教えてあげて下さい。
(お散歩について) 愛犬のお散歩デビュー、準備はできてる?
「はじめに」ルールをしっかり教えて、人との関わり方やお散歩の仕方を学んでいる仔と、ルールを知らない(教えない)ため愛犬が自由に過ごした結果「お困りの行動」に発展してから「ルールを追加」する仔では、愛犬の態度やしつけ(トレーニング)のしやすさにかなりの差が出ます。
1度ついた「癖」を矯正したり「誤解」を解いたりするのは愛犬に本来必要のない負担がかかる事になり、時間も根気も必要になりやすいからです。
(しつけについて) 愛犬をしつけのしやすい仔に育てるコツは?
愛犬に「しつけをする」認識はあるのに、「困ってから」しつけをする方が多いため、「困らないように」しつけをするようにご家族が愛犬を迎える前から意識をしていただけるようになるといいなと思います。
スクールでも低月齢から通ってくれている仔と「お困りの行動が強化(悪化)してから」「年齢を重ねてから」通ってくれている仔では、表面的には同じような事ができても根本的な部分での差があります。
しつけは楽しませる事が目的ではない
誤解している方が多いですが、しつけをする(=ルールを教える)段階で「愛犬を楽しませる」事は最優先ではありません。
怒鳴りつけたり強要し過ぎたりして、愛犬がしょんぼり落ち込んでいるのもよくないですが、人が「教える」時、愛犬はある程度落ち着いて冷静な状態にしたいため、過度に褒めたり、喜ぶように盛り上げたり、過度な興奮状態では「教える事」は難しくなり、「なにをすればいいのか」が愛犬に伝わりにくくなるからです。
また、愛犬が「とりあえず興奮していればいい」と勘違いすると「落ち着きがない仔」になりやすく、興奮する事を褒められ続けると、興奮している状態が「普通」になり、色々なお困りの行動に発展するリスクもあります。
イメージとして、学校で授業を受ける時は、キョロキョロしたり、話をしたり、あちこち動き回ったりせず、落ち着いて静かな方が、教える方(=人)も教えやすいし、教えてもらう方が(=愛犬)も集中しやすいと思います。
愛犬に合わせる部分と人に合わせる部分
基本的には人間社会でストレスなく過ごせるように、愛犬が「人に合わせる」事を教えてあげた方がいいですが、教える過程や愛犬の性質によってはご家族が「愛犬に合わせる」事が必要な場面があります。
本来は愛犬に合わせて欲しい部分を人に合わせて、人に合わせて欲しい部分を愛犬に合わせているご家庭が多い気がします。
ここが逆転してしまうと、ご家族との関係性が複雑になったり、お困りの行動が強化(悪化)したりしやすくなります。
愛犬に合わせる部分
愛犬の犬種特性、年齢(月齢)、性格、性質、状態(しつけの進み具合など)は「愛犬に合わせる」部分です。
ご家族は愛犬と一緒に旅行、イベント、キャンプなどお出かけをしたいかもしれませんが、愛犬の性質によっては「苦痛」や「ストレス」にしか感じない場合やしつけ不足で「どうしたらいいか」がわからずパニックやトラウマになり「しなくていい経験」をさせてしまう可能性もあります。
例えば、キャンプに行きたいから愛犬も一緒に連れて行っても、「落ち着ける場所」がない愛犬は終始不安そうにしたり吠えたりパニックになったりする可能性があります。
しつけの面では、「キャンプに行くときだけ」ではなく、日頃からどんな時でも「ハウスで落ち着く」練習をしていれば、落ち着きたい時はハウスで休めるし、愛犬が危ない時はハウスで静かに過ごしてもらう事もできます。
やりたいからすぐやろう!ではなく、やりたいから愛犬も連れて行けるように練習しよう!と事前準備をしていただく意識を持って欲しいです。
愛犬の性質によっては、一緒に連れて行く事が難しい仔もいるため、必要に応じてペットホテルを利用したりペットシッターに依頼したりする選択肢も入れて欲しいです。
人に合わせる部分
日常生活は「人に合わせる」部分です。
ごはんの時間、トイレの時間、お留守番の時間、お散歩の時間(コースや距離含む)、遊ぶ時間、練習する時間などは「ご家族に合わせる」事ができるようにルールを整えてあげてください。
「愛犬が吠えているから仕事を早退します!」「お留守番ができないから仕事を辞めます!」と愛犬に合わせていると生活が成り立たなくなる可能性があり、楽しいはずの「愛犬との生活」が「○○しなきゃ」と「義務感」が強くなってしまうと苦痛に感じやすくなってしまうからです。
犬は賢いからしつけは不要?
「犬は賢い」と表現される事が多く、実際賢いと思う場面は多いですが、「犬の賢さ」を誤解している方が多いように思います。
例えばトイレの場合、「排泄をする」行為は本能でできるので「どこでも自由に」排泄していい場合はしつけは不要かもしれませんが、指定のトイレや指定の「トイレの時間」で排泄をして欲しいから「トイレのしつけ=トイレトレーニング」が必要になるため、教えてもいないのに「トイレで排泄しない」のは当然だと思います。
ただ、「犬は賢いからなんでもできる」ため、「教えなくてもトイレが完璧にできる」と勘違いをしたまましつけをしないケースもあるようです。
また、賢いがゆえに愛犬に「勘違い」をさせたままにすると「お困りの行動」に発展したり行動が強化(悪化)したりする事があります。
「教えた事」を学習して習慣にしていく愛犬の習性を、しつけやトレーニングでいい方向に活かしていくか、「して欲しくない事」をそのままにして勘違いさせたまま「お困りの行動」にしてしまうのか、同じ「愛犬の習性」にどのように向き合うかによって愛犬自身や愛犬との生活に良くも悪くも変化が出てきます。
どんな時でも「できる」?
しつけは「座る」「伏せる」「待つ」「呼んだら来る」などの基本的な動作を教える方も多いと思いますが、「練習の時間」や「おやつがある時」“だけ”できても「どんな時でもできる」段階まで教えない方がとても多い印象です。
「いざという時」はトラブルに発展する直前や愛犬の命の危機が迫っている場面にもなり得るため、しつけは愛犬を守る事にも繋がると思います。
例えば、脱走したり首輪や胴輪が抜けてしまったりした時に「おいで」で人の側に来るように促したり「待て」でその場で待たせたりする事ができると「危険の回避」をしやすくなります。
同じ状況でも「呼んでも来ない」、人の合図で「待たない」と愛犬はどこまでも行ってしまい行方不明になったり、危険な場所で飛び出してしまい轢かれてしまったりする可能性があります。
なので、スクールでは「どんな時でも」できるように、色んな場面で何度も繰り返し練習をしています。
いざという時“だけ”やろうとしてもできない
愛犬との生活でお困りの行動があった時に「しつけを始める」のはひとつのきっかけかもしれませんが、「○○に困っているから○○“だけ”なおして下さい」というご要望がよくあります。
目に見えている、ご家族が気になる「お困りの行動」が○○なだけで、その行動をするまでには色んな理由や状況の積み重ねによる結果の事が多いです。
さいごに
ご家族がしたい事を最優先して、愛犬のしつけができていないのに強行突破をしてしまう方がとても多いです。
お出かけの準備を万全にするように、愛犬も色んな状況に備えて「大丈夫」な状態になるまで事前にしつけやトレーニングをする事を念頭に入れてみて下さい。
愛犬の犬種や性質によっては向き不向きがあるため、「愛犬に合わせる」場面が必要ですが「人に合わせる」生活も必要です。
お困りの行動があれば「様子を見る」のではなく、些細なお悩みでも、気になる事があればお気軽にお問い合わせ下さい。