こんにちは。ドッグスクールKANEKOです。
「首輪はよくない」と言われたり「胴輪の方がいい」と勧めているものを目にしたりする機会が増えたように思います。
首輪は愛犬にとってよくないものなのか、個人的な意見を書いてみようと思います。
はじめに
愛犬の疾患や状態によって「首輪は不向き」なケースもありますが、しつけやトレーニングをする際に「首輪の方がいい」ケースもあります。
普段目にする内容とは異なる部分もあるかもしれませんが、「そういう一面もある」事を知っていただくきっかけになると嬉しいです。
首輪はよくないの?
首輪は「首が絞まる」「首に負担がかかる」「気管を圧迫する」など言われる事がよくありますが、首輪をする「だけ」では首は絞まらないので、負担になる事はないと思います。
人に例えるなら、ネックレスやネクタイをする「だけ」では首が絞まる事はないのと同様です。
ではなぜ「首輪はよくない」と言われる事があるのでしょうか?
首輪がよくないのはどんな時?
「首輪」ではなく、愛犬が主に「引っ張る」行動をした時に首が絞まる(首に負担がかかる)状態が継続している事が一因だと思います。
お散歩などで引っ張る行動をする愛犬が首輪を使用していると、確かに首に負担がかかり「ゼーゼー」「ハァハァ」して苦しそうにしていたり、咳をしたりむせたりする事があると思います。
そういう愛犬をみて「首輪はよくない」と胴輪に変えるのか、「引っ張る行動をしない」ようにしつけの見直しやトレーニングをするか、ひとつの分岐点になります。
胴輪に変える場合
「引っ張る行動」はそのままなので、胴輪の種類や形状によっては引っ張る事により首以外の部分に負担がかかったり、胸、胴、脇の下など胴輪のラインの毛がなくなったり皮膚がすれたりする可能性があります。
引っ張る行動を見直す場合
引っ張る行動が減ったり緩和したりしなくなったりすると、首輪は「首についている“だけ”のもの」になり、首への負担も減ったりなくなったりする傾向があります。
首輪の選び方
ネクタイを締め過ぎたり、サイズの合ってない小さめのYシャツやブラウスの第1ボタンをとめたりした時に首周りが窮屈に感じるように、首輪も正しく使用し適切なサイズでないと窮屈に感じる事があります。
また、首輪は「ファッション」ではないため、装飾品があったりビーズや細いゴムなどで作られたりしたものではなく、耐久性のある実用的なものを選択し使用してください。
可愛いけれど壊れやすそうな首輪は、お散歩など外では使用せずに、撮影用や室内限定など使用目的を限定してください。
サイズ
ひとつの目安ですが、指1本ギリギリ入るくらいのキツさに調整しています。
適度なキツさで調整しないと、愛犬が引っ張ったり突っ張ったり暴れたりした際に首輪が抜けてしまいます。
ミックス犬(雑種、ハーフ、ハイブリット)は特に、頭が小さく首が太いなど、頭と首のバランスが異なるケースがあるため、各個体で適切な調整具合は異なります。
また、体重や犬種によって首輪の太さも適したものが異なります。
形状
大きく分けると、カチッとはめる「ワンタッチ」タイプと、各穴で調整する「ベルト」タイプがあります。
ワンタッチタイプは装着が簡単ですが、カチッとはめる部分が劣化したり破損したり、耐久性に不安があるため、個人的にはベルトタイプがおすすめです。
ベルトタイプも穴が大きくなるなど劣化はするため、定期的にチェックをお願いします。
首輪を使用する理由
人と同様、愛犬も頭を起点に動かしますが、人とは違い犬は四つ足で動くため、頭の近く(=首)がコントロール(制御)しやすいため、例えば、興奮して噛む犬の場合、直接口を抑えたり胴体を抱えたりするよりも首輪を掴んだ方が動きを止める事がしやすいです。
愛犬がその場でまわる「おまわり」をする場合、首輪にリードをつけていると首を中心にまわる事ができるので小まわりがしやすいですが、胴輪にリードをつけていると背中の真ん中を中心にまわろうとするため大まわりになりやすいです。
また、愛犬の大きさが大きくなればなるほど、胴輪だと大まわりになるため、細かい動きが教えにくくなります。
なので、しつけをする際は基本的には首輪を使用した方がスムーズに動きを教えやすいです。
例外として、かかりつけ医から首輪NGの指示が出ている仔や、気管虚脱や気管狭窄の程度によっては胴輪のみでトレーニングをするケースもあります。
首輪によるトラブル
首輪が抜ける、首輪の刺激などによるトラブルの一例です。
“首輪のせい”というよりは「首輪を正しく使用していない」事や「お困りの行動」が一因のケースも多いように思うため、普段の生活を見直すひとつの目安やきっかけにしていただければと思います。
脱走
首輪が緩くて首輪が頭から抜ける、首輪が切れる(外れる)などした際に、愛犬がそのままいなくなってしまうトラブルがあります。
お散歩などお出かけ前に毎回サイズやキツさの確認をし、劣化する前に買い替えをお願いします。
特に大型犬の場合は、成長段階に応じて適切なサイズが異なります。
また、毛量の多い犬種では、毛(被毛)で大きく太くみえているだけで、実際の首は意外と細いケースもあります。
気管虚脱・気管狭窄
愛犬が引っ張る行動が多い場合、引っ張る力や首輪の位置によって気管が刺激されたり潰れたりするケースがあります。
先天的に気管が弱い細い個体もいますが、家族に迎えてからの生活で後天的に気管にダメージが出るケースもあるようです。
胴輪で気をつける事
「首輪がよくない」という方は首輪から胴輪に変えるケースが多いように思いますが、胴輪も「絶対安心」ではないです。
「みんなそうだから」ではなく、胴輪の構造、使用目的、メリットデメリットを理解した上で使用するようにしてください。
脱げる
勘違いされやすいですが、「首輪は抜けるけど、胴輪は大丈夫」ではなく、胴輪も抜ける(脱げる)事があります。
骨格異常
引っ張る行動の程度によっては、どの犬具を使用していても骨格異常になる可能性はありますが、「引っ張りやすい」状況になると、身体を傾けてより引っ張る行動が強化(悪化)して、骨格異常になりやすい傾向があります。
トラブル時の被害拡大
胴輪は首輪より制御しにくいため、他犬や他人とのトラブル時にお互いの被害が大きくなる可能性があります。
トラブル時(興奮時)にコマンド(指示することば)が愛犬に伝わらない場合、首輪を持つなど首の動きを制限すると物理的に動きを止める事ができますが、胴輪を掴んでも、首は自由に動かせるため、相手を威嚇したり噛もうとしたり暴れたりしてしまい、次のトラブル(手を離す事による脱走など)に発展しやすくなります。
スクールで使用しているもの
スクールでは首輪を使用する事もありますが、特に外へ出る時は「チョークチェーン」を首輪のように折り返して使用しています。
首の細い小型犬の場合は首輪の代わりに「ハーフチョーク」を使用します。
ここまでご覧いただくと「え?首輪を使わない事もあるの?」とのツッコミがあるかもしれませんが、首輪のメリットがありつつ首輪が外れるリスクを回避するためには、上記がいいと判断しています。
さいごに
首輪に限らず犬具(愛犬に使用する道具)にはそれぞれ使用目的があります。
適切に使用すれば便利なものや、しつけやトレーニングの過程で必要なもの、個体や状態によっては限定的に使用するものもあります。
「首輪はダメ」「胴輪がいい」ではなく、愛犬の状態やそれぞれの使用目的を理解して適切に使用するようにお願いします。
外に出る前に首輪のキツさや劣化具合の確認をしていただき、特にミックス犬(雑種、ハーフ、ハイブリット)は頭と首のバランスが異なる個体もいるため、入念にチェックをお願いします。
「首輪否定」をされる方は「愛犬が引っ張る事」が前提のケースもあります。
引っ張る行動にお困りの場合も、お気軽にお問い合わせください。