愛犬のその行動、本当に喜んでる?

こんにちは。ドッグスクールKANEKOです。

愛犬の相談に対して「では○○してみましょう」と提案をすると「え?こんなに喜んでいるのに?」と言われる事がよくあります。

愛犬が喜ぶ事はもちろん悪い事ではないのですが、愛犬が喜んでいれば何をしてもいいのでしょうか?

愛犬の行動(興奮)の解釈について、しつけの面から書いていこうと思います。

 

はじめに

愛犬に落ち着きがない、興奮しすぎている状態をみて「喜んでる」「楽しそう」などと好意的に表現される方は少なくない印象があります。

しつけの面ではその興奮状態をどう解釈した方がいいのか、ご家族は愛犬に対してどういう接し方をした方がいいのかを書いていこうと思います。

 

過度な興奮状態

ご家族の帰宅時やサロン等のお迎え時などに愛犬が激しく動き回ったり、あちこち飛びついたりしていませんか?

もちろん大好きな家族の帰宅やお迎えは愛犬にとって嬉しいと思いますが、呼吸が激しく、息があがるほど落ち着きがなくなっているのは「過度な」興奮状態であまりいい状態ではありません。

愛犬が過度に興奮する場合、より興奮が強くなりやすい接し方をしている可能性があります。

愛犬に思い当たる行動がある方は普段の愛犬への接し方や習慣を1度見直してみてもいいかもしれません。

 

愛犬の要求にこたえる

愛犬が「喜んでるから○○してあげる」という方がいます。

その気持ちはわかりますが、その行動は「愛犬のため」になるのか、ご自身の欲求を満たすだけのものなのかを1度考えてみて下さい。

実際にブログでも例えに使っていますが、犬のしつけは人間の子育てに似ていると表現され、

愛犬に対しての接し方は「両親タイプ」と「祖父母タイプ」に大きく分けられる気がします。

両親タイプは愛犬をご自身の子供のような感覚で、いい事はいい、ダメな事はダメとしつけをしっかりするタイプが多く、

祖父母タイプは愛犬をご自身の孫のような感覚で、愛犬がしたい(要求する)事をさせてあげようと甘やかすタイプが多い気がします。

各ご家庭によって色んな価値観があると思いますが、しつけの面では両親タイプの方が愛犬にとっても一緒暮らすご家族にとっても過ごしやすい環境やいい関係性が築きやすいと思います。

椅子に静かに座る事を教えていないのに、学校ではちゃんとして!病院では静かに!と言っても子供は「?」という顔をすると思います。

犬も同様に教えていない事はできません。

ただ、子供の場合、家庭ではできない集団生活、経験、マナーなどを幼稚園(保育園)、各学校などで教えてもらう事ができます。

また、家庭とは別の一面を先生と共有したり時には相談をしたりアドバイスをしてもらったりする事もあると思います。

犬の場合、日本では「しつけは家庭内でするべき」という感覚がまだ根強い印象があります。

子供を幼稚園(保育園)や学校に通わせるように、犬もスクールへ登園したりトレーニングを依頼したりする事への抵抗感や罪悪感がなくなれば、もっと愛犬との生活が楽になったり充実したり、相談先や万が一の預け先の確保ができ、色んな事に備えて安心かなと思います。

 

愛犬にわかりやすくオーバーに褒める

よくみかけるフレーズですが、状況や性格により適する犬もいれば適さない(逆効果になる)犬がいます。

今、日本では「褒めるしつけ」が流行っていて、褒めるしつけについて書かれているものの中には叱る事は虐待かのような表現をセットでみかける事もあります。

ただ、言葉が通じる人間の子供相手でも褒める「だけ」でしつけをするのは難しいです。

月齢や年齢によって程度や強弱は異なりますが、最低限でも命の危険が迫る危ない事をした時や公共でのマナーを教える過程などでよくない事はダメと叱る事は必要だと思います。

できた時に褒める事はもちろん大切ですが、同時にダメな時は叱る事で、いい事、ダメな事をより理解しやすいと思います。

また、褒め方にも状況や相手に応じて調整が必要です。

ずっと出来なかった事がやっとできた時、自信なさげにしている時などは自信を与えられるような褒め方をしますが、

高めの声や触るだけでも過度に興奮する相手の場合はゆっくり声をかけるだけでも効果があり過ぎるくらいの事もあります。

オーバーに褒める事がいい事ではなく、愛犬の性格、チャレンジや練習している状況などで褒め方を変えてみて下さい。

せっかく褒められる事を愛犬がしたのに、オーバーな褒め方によって愛犬の「いい事」を台無しにしてまで興奮させるのは本末転倒です。

なんでも「適度」の見極めがポイントになります。

自分がしたいように褒めるのではなく、愛犬のようすを見て愛犬の「適度」を探してみて下さい。

 

愛犬が興奮するのはダメな事なの?

もちろん全てがダメな事ではないです。

極端な話ですが、

ずっと下を向いて落ち込んでいる愛犬は精神的によくない状態ですが、

過度に興奮やパニック状態になっている愛犬も精神的によくない状態です。

愛犬が興奮している 喜んでる(いい事)と解釈する方は意外と多く、興奮すればするほどいいと勘違いしている方も少なくない印象があります。

特にパピーは自分自身で興奮を抑える事は難しいですが、「興奮すればするほどいい」と育てられると、1度興奮し始めると興奮し続ける犬に成長してしまいます。

過度な興奮状態ではご家族は愛犬のコントロールが不能になりトラブルが起きやすくなります。

また、愛犬自身も「落ち着く事」を教えてもらえず「興奮し続ける事」しかできないので、精神的にも肉体的にも辛いと思います。

愛犬を喜ばせる事は決して悪い事ではありませんが、ご家族が愛犬を「コントロール(制御)できる範囲内」がいいと思います。

興奮させる事、喜ばせる事、一緒に楽しく遊ぶ事、どれも悪い事ではありませんが、「コントロールできる範囲」の「適度な状態」を保てるように気をつけてみて下さい。 

 

適度な状態とは

過度な興奮状態やパニック状態にならず、こちらのコマンド(指示する言葉)をきく余裕がある状態です。

興奮状態ではおやつで誘導したり、おもちゃで遊ぼうとしても、愛犬はそれどころではなく、冷静に頭で考える事ができません。

何に対して(どういう状況で)興奮しやすいのか、冷静に分析してみてもいいと思います。

 

では、どうすればいいの?

「困った時だけ」ではなく、「日常的に」こちらのコマンドをきく練習をしてみて下さい。

普通の状態でできない事を、興奮・パニック状態で「のみ」やろうとするのはかなり難易度が高いです。

勉強やスポーツでも練習でできない(していない)事をいきなり本番や試合でやろうとしても難しいですよね

なので、愛犬との生活でもコツコツと練習の積み重ねが大事になります。

基礎(しつけ)ができていないと応用(様々なトレーニング)は難しく、

基礎(しつけ)ができると色んな応用(コマンドを使った遊びなど)に愛犬と「一緒に」チャレンジする楽しさや充実感(特別感)が得られると思います。

 

さいごに

何事にも限度や適度な状態があります。

度を越してまで興奮し過ぎているのは「喜んでいるからいい」のではなく、「コントロール不能な状態になっている」ため、「コントロールできる範囲」におさえる事を意識してみて下さい。

また、しつけは家庭内でのみするべき事ではありません。

ご家族だけで、ひとりで悩まずにまずはお気軽にご相談下さい。